便利屋の変わった依頼

代わりに納骨に行く

更新日:

                         images (1)

身寄りがいないというお客さんからの依頼で、納骨に行ってほしいと頼まれました。

ご年配ので自分では足がよくないし、電車に乗れないとのことで、お爺さんのお骨を甲府のお寺にもっていって納骨をしてきてほしいとのこと。

 

宅急便で送るといったら、和尚さんに怒られた

 

もう3年そのままになってしまっていて、お寺に、「いい加減持ってこい!」と言われたとのことでした。

「宅急便で送ろうとしたら、和尚さんなんだかすごく怒ってるのよ」

私は吹きだしそうになり、くしゃみのフリしてごまかしました。

宅急便はさすがにまずい。

 

私は翌日、喪服で、お爺さんの骨を抱えて電車に乗りました。

迷いながらお寺について、お堂で長いこと待たされました。

ようやく車がきて、かなりご高齢の和尚さんが抱えられながら出てきました。

 

ご年配の和尚さん

 

和尚さんは宅急便で仏様を送るなどとはとんでもない、と。

私は代理できたことを説明しましたが、身内のものと勘違いしていて、耳が遠いのでお説教を繰り返します。

隣で娘さんなのか、お孫さんなのか、女性の方が、

「じき終わるから、我慢して聞いててくださいね」

私は仕方なく、申し訳ありませんとか言いながら、とりあえず合わせました。

両脇を抱えられた和尚さんは小さくて、袈裟が歩いているようでした。

高齢化はどんどん進んでいるんですね。

 

和尚さんは、お経の本がすぐ横にあるのに、どこだどこだと大騒ぎし、手が震えていてマッチを何度も擦ってロウソクにやっと火をつけ、何度もむせ返りながらお経を読みました。

立ち上がるとき、こけそうになり、私は真っ赤な顔をして俯いて、吹きだすのをこらえるのがやっとでした。

 

精進料理

 

それでもお墓の前に立つとさすがにしゃんとしました。

お経を唱えて、お骨を納めました。

手を合わせていると、なんだか心が静まります。

他人のような気がしなくなり、どんな方だっただろう、どんな苦労があったのだろう、おばあちゃんとどんなロマンスがあったのだろうと思いを巡らすと、涙がでました。

これもきっとご縁というものなのだろうと心が温まるのを感じながら、まだ宅急便のことを言っている和尚さんにお礼を言って、帰ろうとしましたが「ご飯を食べていきなさい」と引き留めらえました。

 

精進料理とお酒をだしてもらい、せっかくだからと和尚さんと向かい合わせでいただきましたt。

和尚さん、酒が入るとますます饒舌になって、また宅急便のことを言い始めました。

 

娘さんだか、お嫁さんだかが「ほんとに申し訳ありませんねえ」としきりに気をもみます。

止めるのも聞かずにどんどん銚子を開けた和尚さんは、やはり抱えられるようにして帰っていきました。

 

私は帰りの電車で、思いだしてはひとりで笑いました。

それでもなんとなく、心の中は温かく、だから夜景がきれいにみえました。

 

sponcerdrink

sponcerdrink

-便利屋の変わった依頼

Copyright© 小さな大工のエボシ おかげさまで湘南茅ケ崎で21年 大工 リフォーム 便利屋 , 2018 All Rights Reserved.